令和3年3月10日(水)
2021鹿児島県早場茶産地生育状況報告
○調査期日 2月28日~3月4日○種子島・屋久島茶産地
・昨年夏期は気温は高いものの、適度に降雨があり干ばつの影響は無く、9月に2つの台風が来たが潮風害や強風被害も無く園相は総じて良好。
・冬季12月中旬~1月下旬にかけて、離島においても平年に比べ強い冷え込みがあり、早生系茶園の多い中充分な休眠があったと思われます。
・頂芽・側芽の揃いが例年に無く良い、充分な休眠が確保出来たからと思われます。
・本年1月下旬から現在までは、やや気温が高めの中安定した気象で推移しており、例年に比べ緑色が増しています、茶樹の樹液流動も早くから活発に行われていたと思われます。
・近年、茶園管理技術の向上見られ、樹勢の維持、適正芽数の調整に合わせた整枝等の茶園管理が行われていました。
・萌芽生育状況では、極早生品種(松寿、くりたわせ)はすでに開葉期を迎えており、昨年に比べて2~3日早い状況でしたが、その他の早生系品種(さえみどり、ゆたかみどり)は、総じて前年度からやや進んでいる萌芽状況でした。
○南薩・大隅茶産地
・昨年夏期はやや干ばつ気味ではあったが、適度に降雨があり影響は少ないと思われますが、二番茶後の更新園において夏場以降の伸育量が少なく、一部茶園では二段葉層が見られ、秋整枝深さや位置決めに苦慮されたように感じました。
・昨年11月中旬~下旬にかけて気温の高い日が続き、一部の極早生、早生系品種茶園において再萌芽が見られました。
・最終整枝の時期も適切に行われており、整枝技術の高さが伺われました。
・冬季12月中旬~1月下旬にかけて平年に比べ強い冷え込みが続き、充分な休眠があったと思われます。
・園相は総じて良好、母葉の葉色もゆたかみどりを始め黄緑色から緑色が強く感じられる茶園が多く、樹液流動も活発に行われていると思います。
・調査圃場においては、製造される荒茶品質を考慮にいれた茶園の栽培、更新作業が行われており、葉の大きさ密度、葉層の確保、樹冠面から見た茎の太さの揃い等、本年一番茶生産に期待の出来る茶園が多くありました。
・萌芽率から見ると、昨年に比べて約2日早い状況でした。
総じて、昨年の気象は全国的に夏場は高温と干ばつ傾向、秋冬期(11/中旬~下旬)は気温が高めに推移。12月中旬~本年1月下旬にかけて、平年に比べかなりの冷え込みが続き茶樹は充分な休眠が取り入れられたと思われます。 気象庁は今後1ヶ月予報においても、気温は高めに推移する見込みとの事です、順調に茶芽が進めば萌芽、開葉スピードは更に速まる可能性があります。 近年異常とも思われる気象の現象から、茶樹自体の消耗度合いはどうか、デンプンの蓄積量は充分あるのか等、幾つかの心配はありますが茶園の管理作業が後手後手に回らないように、各茶指導機関の情報に耳を傾け用意周到な管理の上で一番茶を迎えて頂きたいと思います。
2021年3月10日
カワサキ機工株式会社
文責:営業部技術顧問 高岡